適したワークと
ねじサイズから探す
プリント基板や電子部品のネジ締めでは、静電気による電子部品の損傷や、締め過ぎによる基板の割れ、微小ネジの締め不良など、一般的な部品のネジ締めとは異なる課題が発生することがあります。静電気による損傷は、外観から確認できない場合もあるため、ネジ締め工程で不具合を防ぐ仕組みづくりが重要です。
本記事では、基板のネジ締めで起こりやすい課題を整理し、ネジ締め機の選定や締結工程で検討したい対策を解説します。
| 課題 | 起きている事象 | 主な原因の例 |
|---|---|---|
| 静電気による電子部品の損傷 | 静電気放電(ESD)によって、基板上の電子部品が損傷する | 作業者や装置、部品などの帯電や、帯電した物体間での放電 |
| 基板の割れ・反り | 締め付け時に基板にクラックや反りが発生する | 締め付けトルクや押付け力が大きい、基板の支持が不足している |
| 微小ネジの締め不良 | ネジ浮きや空回り、ネジ頭の損傷などが発生する | トルク設定の不適合、ビットとネジ頭の不一致、軸ずれなど |
| 周辺部品との干渉 | ビットやネジ締め機が実装部品に接触する | 工具の外形が大きい、ビットの振れや位置ずれがある |
| 締結品質のばらつき | 作業ごとに締め付け状態が異なる | 作業条件のばらつき、工具の管理不足、位置決めの不安定さなど |
静電気による損傷は、帯電した人や装置、部品などの間に電位差が生じ、放電することで発生する場合があります。電子部品によっては、静電気放電の影響が外観に現れないこともあるため、作業環境や設備を含めた対策が必要です。
基板のネジ締めでは、ドライバーやビットだけでなく、作業者、装置、治具、部品などの帯電や放電にも注意が必要です。ESD対策に対応した工具を選ぶとともに、工程全体で静電気を管理しましょう。
静電気対策は、工具を変更するだけで完了するものではありません。作業者や設備、治具、作業台などを含め、工程全体で対策が適切に機能しているか確認することが重要です。
クリーンルーム内で基板を組み立てる場合は、静電気対策への対応に加え、使用環境で求められる清浄度や発塵に関する要件を満たしているかも確認しましょう。
基板の固定に使われる小径のネジは、締め付けトルクが小さい場合があります。適切な条件を超えて締め付けると、基板やネジの損傷につながる可能性があるため、対象となるネジに合ったトルク制御が必要です。
ネジ締め機を選定する際は、設定可能な最小トルクだけでなく、必要なトルク域での制御精度や再現性も確認しましょう。設定できるトルク範囲が対象ネジに合っていても、実際の締結品質が十分とは限りません。
対象となるネジのサイズや材質、基板の構造などを踏まえて必要な締め付けトルクを整理し、実際のワークを用いて締結品質を検証することが重要です。
基板上は電子部品が密集していることが多く、工具の外形や位置ずれ、ビットの振れが周辺部品との干渉や締め付け不良につながる場合があります。ネジ締め機だけでなく、ビットやスリーブなどの先端工具も含めて選定しましょう。
市販のビットではネジへの食い付きが悪い場合や、周辺部品とのクリアランスを確保できない場合は、使用するネジや基板の構造に合わせて先端工具を選定する方法もあります。工具メーカーに相談し、実際のワークで適合性を確認するとよいでしょう。
基板の割れや反りを防ぐには、締め付けトルクだけでなく、ネジ締め時に基板へ加わる押付け力や、基板を支える治具の位置・剛性も確認する必要があります。締結箇所の近くを適切に支持し、基板に過度なたわみが生じない条件を検証しましょう。
締結データを活用する場合は、正常時のデータを基準に判定条件を設定し、実際の不良や異常な締結状態を用いて検出できるか確認しましょう。トルクや回転角のデータだけで、すべての基板の損傷やネジ浮きを検出できるとは限らないため、必要に応じて外観検査や締結後の確認も組み合わせることが重要です。
基板のネジ締めでは、静電気による電子部品の損傷や基板の割れ、微小ネジの締め不良、周辺部品との干渉などの課題が発生することがあります。
対策としては、ESD対策に対応した工具の選定、作業者や装置を含めた静電気管理、必要なトルク域に対応したネジ締め機の選定、ビットや先端工具の見直し、基板の支持方法の改善などが挙げられます。
ネジ締め機は、機種によって対応できるネジのサイズやトルク範囲、制御機能が異なります。ワークやネジの条件、求める締結品質に合わせて設備を選定し、実際の基板を使って締結品質を検証しましょう。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
腕時計や
HDDなどに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。