ネジ締めの自動化で締め忘れを防止

目次

製造現場のネジ締め工程では、人手不足や品質管理の厳格化を背景にさまざまな課題が顕在化しています。ここでは主な課題と、自動化の主な手法を解説します。

ネジ締め作業の課題と自動化が求められる背景

人手不足と品質バラつきの深刻化

労働人口の減少により、ネジ締め工程に十分な作業者を確保することが難しくなっています。さらに手作業では、作業者の熟練度によって締付けトルクにバラつきが生じやすく、品質の均一化が困難です。

締め忘れ・トルク不足による品質リスク

ネジの締め忘れやトルク不足は、製品不良や市場クレームに直結する重大なリスクです。ネジ締め工程の自動化によって、こうしたヒューマンエラーを抑制し、品質の安定化と生産性の向上を同時に実現できます。

ネジ締め自動化の代表的な手法

ネジ締めの自動化にはさまざまなアプローチがあります。代表的な手法を紹介します。

ロボットを活用した自動ネジ締めシステム

自動ネジ締めには、直交ロボット(XYテーブル)やスカラロボット、垂直多関節ロボットなどが活用されます。直交型は単純な直線動作に、スカラ型は高速な水平移動に適しています。ワーク形状や生産量に応じて適切なロボットを選定することが重要です。

電動ナットランナ・ポカヨケ機器の活用

電動ナットランナは締付けトルクや回転角を可視化し、ネジ浮きや位置ずれなどの不具合を検知できます。さらに締付回数を管理するカウンタ式やマーキング式といったポカヨケ(締め忘れ防止)機器を併用すれば、締め忘れのリスクを大幅に低減することが可能です。

締め忘れ・ネジ浮きを防ぐ品質管理のポイント

自動化を導入しても、ネジ浮きなどの品質課題が残る場合があります。以下の対策が重要です。

トルク管理の限界とZ軸判定の活用

トルク管理はネジ締めの基本的な品質指標ですが、斜め締めや異物の噛み込みが生じた場合、トルク値が正常でもネジが正しく着座していないことがあります。この課題にはロボットのZ軸(高さ)判定の併用が有効です。ネジ締め後のドライバー先端の高さを測定し、トルクとのダブルチェックを行うことで、ネジ浮きを確実に検知できます。

治具設計と周辺環境の整備

ワーク固定用治具の精度確保も品質に直結します。浮き上がりや沈み込みを防止する治具設計に加え、回転治具ベースによるインターロック管理など、ロボット単体ではなく工程全体を見据えた設計が重要です。

編集チームまとめ

ネジ締め工程の自動化は、品質の安定化と生産性向上を両立する有効な手段です。締め忘れ防止にはトルク管理に加え、Z軸判定やポカヨケ機器の併用による多角的な品質管理が欠かせません。自動化を検討する第一歩として、まず自社のネジ締め工程における課題を整理し、メーカーや専門企業への相談を進めてみてはいかがでしょうか。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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