大量ロットにおけるネジ締め作業

目次

大量ロット生産のねじ締め作業について、どのような課題があるのか、また、自動化を導入することによってどのように改善できるのかについて解説。ねじ締め作業の自動化は、品質の安定と生産効率の両立を実現する鍵です。本ページでは、大量ロット生産現場における課題と、自動化による改善の方向性について解説します。

大量生産ラインにおける
ねじ締めの課題とは?

大量生産ラインにおけるねじ締め作業は、製造工程の中でも精度と安定性が求められる重要なプロセスです。しかし、手作業によるねじ締めは、作業者の熟練度に左右されやすく、トルクのばらつきや締め忘れ、不適切な締結による品質不良の原因になることもあります。

また、作業者の疲労やヒューマンエラーが生産効率に影響を与えるだけでなく、多品種少量生産への対応が求められる中、段取り替えの頻度が高まり、現場にはより柔軟かつ迅速な対応が必要とされています。

自動化によって
どう改善される?

ねじ締め作業を自動化すると、作業者によるばらつきを排除し、常に一定のトルクで正確に締め付けることが可能となり、品質の安定化が期待できます。また、作業記録をデジタルで管理することで、トレーサビリティの向上や不良発生時の原因特定も容易になります。

さらに、作業速度のばらつきが低減され、長時間の連続稼働にも対応できるため、大量ロット生産においては特に生産効率の向上に貢献するでしょう。多品種対応が必要な場合でも、プログラム切替による柔軟な運用が可能です。

大量ロット生産に
適したネジ締め機とは?

大量生産に対応したねじ締め工程では、長時間の連続稼働に耐えうる堅牢性と安定性、そしてサイクルタイム短縮に寄与する高速かつ正確な締付性能が求められます。

そのため、高精度なトルク管理機能を備えた電動またはサーボ式のネジ締め機の導入が有効です。安定したトルクでの高速締付が可能なため、1日に数千本単位のねじを扱う工程でも、品質のばらつきを抑えることができます。

さらに、製品ごとにねじの位置やサイズが異なる場合には、自動ねじ供給機構や多軸・多関節ロボットと組み合わせたネジ締め機の導入により、生産ライン全体の自動化率と柔軟性を高めることが可能です。

安定品質と効率化を
両立するなら、
ネジ締め機の導入を

ねじ締め工程を自動化することで、作業のばらつきや人為的ミスを大幅に減らすことが可能です。また、トルクや回転数の精密な制御により、一定品質を維持できるため、大量ロット生産でも安定した仕上がりを実現します。これにより、品質管理の負担軽減と生産効率の向上が期待できます。

機種選定の際は、生産数量・ねじサイズ・締付トルクのほか、作業スペースやメンテナンス性なども考慮しましょう。

当メディアでは、トルク制御の精度や自動化対応、多品種生産への柔軟性など、量産ラインに求められる機能を備えたネジ締め機を厳選して紹介。安定品質と生産性を両立したい方は、ぜひ参考にしてください。

生産ライン自動化に対応した
ネジ締め機3選をチェック

編集チームまとめ

大量ロット生産ラインにおけるねじ締め作業は、品質維持に欠かせない工程ですが、手作業ではトルクのばらつきや締め忘れなどのミスが発生しやすく、熟練度や疲労に左右されるという課題があります。

一方で自動化すれば、常に一定の精度での締め付けが可能となり、品質の安定と生産性の向上にもつながります。さらに、トルクや回転数の精密制御、作業履歴のデジタル管理により、トレーサビリティにも対応可能です。

ぜひ、大量ロットにも対応できるネジ締め機を選定・導入し、安定した品質と高効率な生産ラインの両立を実現しましょう。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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