狭所のネジ締め自動化における課題と対策

目次

機器の小型化に伴い、狭いスペースでのネジ締め作業は自動化における大きなハードルとなっています。本記事では、周辺部品との干渉や斜め締めといった狭所特有の課題と解決を解説します。

狭所でのネジ締め作業・自動化における3つの課題

周辺部品との干渉でツールが届かない・入らない

現場で多く見られる物理的な課題が、ネジ穴周辺の壁や実装部品との干渉です。標準的な自動ネジ締め機や電動ドライバーは、モーター部やヘッドにある程度の太さがあります。そのため、奥まった場所や部品が密集している箇所へ真っ直ぐアプローチしようとすると、ツール本体がワーク(製品)にぶつかってしまい、ネジ穴までビットが届かないという事態が発生します。

無理なアプローチによる斜め締め・芯ブレ・カムアウト

干渉を避けようとツールを斜めから当てると、ビットとネジ頭の回転軸にズレが生じます。芯ブレが起きると、締め付け時にビットがネジ頭から滑り外れるカムアウトが発生しやすくなります。カムアウトはネジ頭を潰すだけでなく、周辺部品を傷つける原因にもなります。

また、斜めのまま無理に締め込むことで、正しく着座しないねじ浮きやトルク不足といった品質不良を招くリスクが高まります。

ネジの極小化によるネジ供給・保持の難しさ

狭所に使われるM1〜M2サイズの極小ネジは、ビットとの接触面積が小さいためマグネットを使っても十分な保持力が得られないケースがあります。さらにステンレスなどの非磁性ネジであればなおさらです。

一般的なマグネット(磁力)での吸着では、ステンレスや樹脂製の非磁性ネジには対応できず、ロボットアーム移動時の振動でネジが落下してしまうことがあります。ネジ落ちによる設備の頻繁な一時停止は、自動化による生産性向上のメリットを大きく損なう要因となります。

狭所のネジ締め課題を解決する対策とアプローチ

アングルヘッド(L字型)や極細ノズルの活用

上部からの直線的なアプローチが不可能な横穴や、極端に隙間が狭い場所にはアングルヘッド(L字型)のツールが有効です。先端が90度などに曲がっているため、太いモーター部をワークの外に逃がした状態でネジ締めが可能です。

また、周囲に壁がある深穴に対しては、干渉を避けるために極細ノズルを採用することで、部品の隙間をすり抜けて正確にネジを打ち込めるようになります。

ロングビット・バキューム(真空)吸着式の導入

深い位置にあるネジ穴には、延長されたロングビットを使用することで到達距離を伸ばせます。また、極小ネジや非磁性ネジの落下を防ぐためには、バキューム(真空)吸着式の導入が推奨されます。ビットの先端やガイドパイプから空気を吸い込むことでネジを物理的に吸着・保持するため、姿勢を変えてもネジが落ちにくく、狭所へネジを運ぶことが可能です。

多関節ロボットによる複雑な姿勢制御の活用

単軸や直交ロボットでは対応しきれない複雑なアングルからのネジ締めには、6軸などの垂直多関節ロボットの活用が適しています。人間の腕のように関節を曲げられるため、障害物を回り込んでツールを挿入したり、適切な角度に合わせてビットの姿勢を微調整したりすることが可能です。

干渉を避けつつ真っ直ぐネジを締めるという基本動作を自動機で再現し、斜め締めを防ぎます。

編集チームまとめ

狭所におけるネジ締めの自動化は、周辺部品との干渉やそれに伴う斜め締め、ネジの落下といった特有の課題を伴います。これらを解決するには、アングルヘッドや極細ノズルを用いた干渉回避のアプローチと、バキューム吸着による保持、多関節ロボットによる姿勢制御などがあります。自社のワークや作業環境に合わせた適切なアプローチ方法を取り入れ、品質と生産性を両立する自動化を実現しましょう。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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