ナットランナーとは?ネジ締め機との違いを解説

目次

ナットランナーとはどんな工具なのか、その仕組みやメリット、選び方などを詳しく解説しています。また、企業が取り扱う製品スペックの紹介をしているので、ぜひ参考にしてください。

ナットランナーの仕組み

モーター、ギア機構、トルクセンサーなどで構成されており、電動または空気圧を利用してボルトやナットを自動で締め付けたり緩めたりする工具です。トリガーを引くと内蔵されたモーターや空気圧により回転が生まれ、ソケットを介してナットやボルトを回す仕組みとなっています。

トルク値が設定値に達すると自動で停止したり空転したりするタイプもあり、ネジ締め機と比較した場合、ナットランナーは高トルク・高精度の締結作業が可能であり、製品や工程の要件に応じた使い分けが重要です。また、デジタル制御や無線通信機能を備えた高精度モデルもあります。

ナットランナーのメリット

手作業と比較すると、高速かつ均一な締め付けが可能であるため、大量生産の現場などにおいて作業効率と締め付け精度の向上を図ることができます。また、作業者によるばらつきが減ることで、属人化しない正確な作業の実現が可能です。

電動式やコードレスタイプであれば、作業現場の自由度も高まり、作業負担の軽減にも寄与します。さらに、静音設計で振動も少なく、さまざまな大量生産の現場で活用することができます。

ナットランナーの選び方

ナットランナーは、ボルトやナットの形状やサイズに合わせて選ぶ必要があります。また、電動式にするかエア式にするかの選択も重要です。電動式は静音性や省エネ性に優れており、屋内での作業に適しています。一方、エア式は軽量で連続使用に強いため、工場での大量組立ラインに向いています。

製品によって締め付け能力も異なるため、トルク値を確認し必要な能力に見合った製品を選ぶようにしましょう。また、品質管理や生産性向上を重視するなら、デジタル管理機能も必要です。

ナットランナータイプの
ネジ締め機を紹介

2025年3月24日時点、Googleで「ネジ締め機 メーカー」と検索し、ヒットした84社の中から、ネジ締め機の製造・販売を行っている会社のみを選定しています。該当の19社の中から、「ナットランナー」に当たる製品を扱っている企業を紹介します。

KX-SD550(日東精工)

 KX-SD550(日東精工)
画像引用元:日東精工公式HP(https://www.nittoseiko.co.jp/products/search/index.php/item?cell003=自動組立機&cell004=ナットランナ(単体)&label=1&name=KXドライバ(SD550シリーズ)&id=3030)

KX-SD550の
性能・スペック

公式HPに記載がありませんでした。

KX-SD550の特徴

ACサーボモータ搭載により、回転数・電流値を任意に設定できるため、高精度な締め付けに対応できる電流値制御ナットランナーです。一般的な電動ドライバーでは、十分な締め付けが難しく、回転数や電流値を自由に可変したい場合に活用できます。空転の起こりやすい樹脂材や薄板、焼付が起こりやすいアルミ材などのワークに適しています。

KX-SD550の
メーカー情報

企業名日東精工株式会社
所在地京都府綾部市井倉町梅ヶ畑20
電話番号0773-42-3111
公式URLhttps://www.nittoseiko.co.jp/

日東精工の
ネジ締め機
について詳しく見る

サーボナットランナシリーズ(エスティック)

サーボナットランナシリーズ(エスティック)
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/servo-nutrunner/tool.html)

サーボナットランナシリーズの
性能・スペック

対応ねじサイズ-
トルク範囲(最小~最大)0.5~3000N・m
回転スピード(rpm)39~2,814
ビット交換方式-
締付方式(制御方式)電流制御式
着座検知-
トレーサビリティ対応
本体サイズ-
本体重量1.7~32.5kg

サーボナットランナシリーズの特徴

多種多様な締め付けアプローチに対応できます。ストレートタイプは、小型高出力サーボモータと精密トルクトランスデューサを組み合わせた小型高性能ツールユニットです。また、締め付けボルトピッチが小さい多軸構成に対応するために、オフセットギアを搭載したオフセットタイプのほか、ベントタイプやアングルヘッドタイプもあります。

サーボナットランナシリーズの
メーカー情報

企業名株式会社エスティック
所在地大阪府守口市東郷通1-2-16
電話番号06-6993-8855
公式URLhttps://www.estic.co.jp/

エスティックの
ネジ締め機
について詳しく見る

Cleco(京都機械工具)

 Cleco(京都機械工具)
画像引用元:京都機械工具公式HP(https://ktc.jp/news/2557)

Clecoの性能・スペック

対応ねじサイズ機種によって異なる
トルク範囲(最小~最大)2.2~77.4Ft.Lbs.(3~90N・m)
回転スピード(rpm)82~2,428
ビット交換方式クイックチェンジ
締付方式(制御方式)無線用バッテリー/Vmax(ブイマックス)有線電源
着座検知-
トレーサビリティ対応
本体サイズ214.5~678.0mm
本体重量1.52~3.96kg

参照元:京都機械工具公式HP(PDF)(https://ktc.jp/files/pr/download/flyer/63-08.pdf)

Clecoの特徴

無線通信による高機動性を備えた締め付けツールで、トルク・角度・速度の高精度な制御が可能です。トランスデューサーや高解像度レゾルバ、サーボモータを搭載し、正確な締付けとトレーサビリティを実現しています。デジタル工程管理により、自動プログラム呼出しやポカヨケ対応も可能です。さらに、最大10本のツールを1台のコントローラーで制御できます。

Clecoのメーカー情報

企業名京都機械工具株式会社
所在地京都府久世郡久御山町佐山新開地128
電話番号公式HPに記載がありませんでした。
公式URLhttps://ktc.jp/

編集チームまとめ

ナットランナーは、ネジ締め機とは異なり、ボルトやナットを高速・高トルク・高精度で締め付けできるツールであり、主に自動車や大型機械など、トルク管理が厳密に求められる製造現場で活用されています。トルクセンサーやデジタル制御、無線通信などに対応したモデルもあり、作業の自動化・データ化による品質管理の高度化にも対応できます。

ネジ締め機を
導入したい方は…

ネジ締め機を検討する際は、「どのサイズのねじを、どの製品に使うか」が重要な視点です。

当メディアでは、ねじサイズと対象製品に注目。小ねじから高トルクねじまで対応したおすすめのネジ締め機3選を紹介しています。精密機器、家電、建機など、用途に合わせた製品選びのヒントとして、ぜひご活用ください。

【製品×ねじサイズ】
ネジ締め機おすすめ
3選をチェック!

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

適したワークと
ねじサイズから探す

ネジ締め機3選