適したワークと
ねじサイズから探す
製造現場でよく見られるねじ締め不良。その原因と対策を正しく把握することで、トラブルの再発防止や品質向上につながります。そこで、このページでは、ねじ締め工程の不良トラブルに悩んでいる方向けに、不良トラブルの種類や原因を詳しく紹介。また、どのような不良対策が有効であるかについても解説します。
ねじの主なゆるみは「回転ゆるみ」と「非回転ゆるみ」の2種類があります。回転ゆるみは、振動や衝撃によりねじが逆回転して緩む現象で、レールなど振動の多い環境で発生しやすいものです。一方、非回転ゆるみは初期ゆるみとも呼ばれ、締め付け時に相手材表面の凹凸が馴染むことで発生します。
疲労破壊とは、一定または変動する荷重が繰り返し加わることで、前触れなく突然発生することがあります。外力が負荷となることが一般的です。そのほか、温度変化に伴う熱応力の繰り返しも疲労の要因となります。
ねじを過度に締め付けると、ねじ山や座面が塑性変形を起こし、ばねとしての復元力が失われます。これにより摩擦力が低下し、ねじが緩みやすくなってしまいます。座面の過度な陥没も同様に復元力を失わせ、緩みの原因になるため注意が必要です。
ねじの締め付けトルクが不足すると緩みや部品脱落の原因となります。そのため、現場では適切なトルク管理やビットの調整が必要です。これにより、品質の維持や安全性を確保でき、コスト削減にもつながります。
ねじ頭の破損(なめり)は、ねじ溝がつぶれることで、締め付けができなくなる状態のことです。その主な原因には、「ねじ溝に合わないサイズのドライバーの使用」「力任せの締め付け」「ねじの錆び」「柔らかすぎるねじ」の4つがあります。よく言われるのは、「押す力が7、回す力が3」というものです。ぜひ、押す力を意識してください。
ねじ締め作業中にドライバービットがねじ頭から外れてしまう現象です。ねじが正しく締まらず、締結不良やねじ・部品の損傷、作業効率の低下を招く原因となります。主な原因として、ビットの摩耗、適切でないビットサイズなどが挙げられます。
適切なトルク管理により、緩みや過剰な締め付けによる破損を防止できます。そのためには、ねじに合ったトルク値により、電動ドライバーなどの専用工具を使用して、所定のトルク値に達したかを確認することが重要です。
ねじ締め不良防止には、作業手順を明確に定め、誰が作業しても同じ品質で締め付けが行えるようにすることが大切です。そのためには、マニュアルの整備や工程の設計、作業者の教育が必要であり、これにより、品質のばらつきを防げます。
ねじ締め作業は、作業者の技量や習熟度によりばらつきが生じやすく、属人化しやすいという課題があります。一方、ネジ締め機の導入により、常に設定された適切なトルクで締結をすることができ、不良を防げます。
製造工程におけるねじ締めでは、さまざまな原因で不良が発生し、品質や業務効率の低下を招くおそれがあります。不良発生を防ぐためには、締め付けトルクの管理が有効であり、適切なトルク値やねじに合わせてビット調整ができるメーカーを選ぶことが重要です。
本メディアでは、自動化に欠かせないネジ締め機について紹介しています。ねじ締めを行うワークやねじサイズに合わせて適切なネジ締め機を導入すれば、ねじの不良は大きく低減するでしょう。ぜひおすすめのネジ締め機3選をチェックし、自社の工程に合った製品選びの参考にしてください。
ビットの摩耗は、空転やなめりなどの不良を引き起こす原因になるため、定期的な点検、交換が求められます。摩耗状況のデータを蓄積・分析し、交換のタイミングを予測する予防的なメンテナンス設計の導入も有効です。
現場では、クラッチ機能付きの電動ドライバーを使用し、薄いプラスチック部品へのタッピンねじの固定作業を行っていました。しかし、設定トルクを超過した際に部材の破壊が頻繁に発生。その結果、歩留まりが低下しました。さらに、ねじの種類や材質に沿ってドライバーを調整する作業が、効率の悪化につながっています。
デリケートな樹脂部材へのタッピンねじでもトルクが安定していることによって、作業時の部品破損リスクが大きく減少しました。
適切なねじ締め機の導入によって、ねじの締めすぎやねじの浮きを防ぎ、製品の均一な品質を確保。その結果、組み付け不良による不良品の発生率が大幅に改善し、製造ライン全体の歩留まり向上とコスト削減に直結します。
参照元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/solution/case1.html)
ねじ締め工程においては、ゆるみや疲労破壊など、さまざまな不良が発生しやすく、品質や安全性の低下につながります。その原因には、オーバートルクやアンダートルク、なめりなどが考えられ、トルクやビットの不適切さが影響している可能性があります。不良を防ぐには、適正なトルク管理やネジ締め機の導入、ビットやねじの調整が必要です。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。