適したワークと
ねじサイズから探す
ねじの緩みや破損、ばらつきの原因となるトルク管理の不備。このページでは、トルク管理のばらつきによる品質問題などの課題を抱えている方に向けて、トルク管理の基礎から管理方式の種類、オーバートルクによる不具合例まで詳しく説明します。
トルク管理とは、機械や装置のねじを適切な力(トルク)で締め付けることを管理する作業のことです。自動車整備や生産ラインにおけるねじの締結作業において、重要な工程となります。
締め付けトルクとは、ねじに加える回転力のことで、これによりねじやワークに生じる「伸び」や「縮み」の力で固定が保たれます。トルクが不足すると緩みやすく、過剰だと破損の原因となるため、材質や用途に応じた適切なトルク管理が必要です。
締め付けトルクと軸力の間に成立する線形関係を活用した、一般的なねじ締結管理方法です。締め付け作業では、トルクレンチやトルクドライバーを使い、目標のトルク値に達するように締め付け作業をおこないます。
締め付けトルク(T)は「T=k(トルク係数)×d(ねじの呼び径)×F(軸力)」という式で表されます。また、トルク係数は摩擦や座面の状態などで変動するため、同じトルク値でも実際の軸力にはばらつきが生じる点に注意が必要です。
締め付け中のねじの状態を「弾性域」と「塑性域」に分けて管理する方法です。ねじが座面に接触するまでの弾性域では通常のトルクで締め付け、その後、設定した回転角だけねじをさらに回すことで、一定の軸力を得ることができます。
摩擦の影響を受けにくく、軸力のばらつきが少ないというメリットがあり、特に高精度な締結が求められる場面で有効です。一方、塑性域まで締め付けるため、ねじが元の形状に戻らず再利用が難しくなることがあります。
締め付け時のトルクの変化と回転角の関係(トルク曲線)から、その勾配を解析し、ねじが降伏点に達した瞬間を検出して管理する高度な締結方法となっています。締め付けに伴うトルク変動の傾きをもとに適正な軸力を算出するため、摩擦の影響を低減でき、高精度なトルク管理が可能です。
ねじが降伏点に達した瞬間を正確に把握するためのセンサーや測定器は高価であるため、コストと精度のバランスを見極めた上で導入する必要があります。
トルク管理は、ねじの締め付けにおける安全性と品質を確保するために不可欠な工程となります。ねじ締めの際には、適切なトルク(回転力)で締め付けることで、ねじが弾性の範囲内で適度に伸び、部品をしっかり固定することが可能です。
しかし、トルクが不足すると振動などの外力でねじが緩み、部品の脱落や製品の故障につながることもあります。逆に、過剰なトルクをかけるとねじや取り付け部品が破損し、最悪の場合はねじ切れや破断が生じることがあります。さらに、素材によってトルク値は異なるため、材質に応じたトルク調整も欠かせません。
正確なトルク管理は、製造現場や保守整備などにおいて、トラブルの未然防止や品質維持に欠かすことができない作業となります。
ねじ締結の仕組みは、ねじを締めることで軸方向に引っ張る力が加わり、ねじがわずかに伸びることにあります。伸びたねじが元に戻ろうとする力が締結力となり、この締結力によって部品同士が強く押し付けられ、固定されます。
適切なトルクで締め付けられていれば、この力のバランスが保たれ、安定した締結状態を維持することが可能です。そのため、トルク管理は、正確に締結するために欠かせないものとなります。
トルク管理が不十分だと、ねじが適切な軸力を得られず、緩みや破損の原因になります。トルクが弱すぎる場合、ねじの復元力が働かず、振動や衝撃により徐々に緩むことが多いです。一方、締め過ぎると、ねじや座面が塑性変形し、摩擦力が低下して緩みにつながります。
締結状態は正確に目視確認することはできないため、発見が遅れ、機械の故障、品質不良などのリスクを招くこともあります。そのため、適切なトルク値の設定やビットの調整などが不可欠です。
オーバートルクとは、必要以上の力でねじを締め付けることで、強固な締結を目的として、現場でやってしまいがちです。しかし、これにより、ねじ山や座面が塑性変形を起こし、本来のばねのような復元力が失われます。
復元力の低下は、摩擦力の減少につながり、座面が過度に陥没することで接触面積が変化し、締結力の不安定さを引き起こすことになってしまいます。さらに、一度変形したねじは、再利用が難しくなるだけでなく、破断や脱落といった重大な事故を招く可能性があるので注意が必要です。
徹底したトルク管理は、製品の品質や安全性を確保するうえで重要です。過大なトルクはねじや部品の破損を招き、逆に不足すれば緩みの原因になってしまいます。適切なトルク値を守るためには、使用するねじの種類やサイズに応じたビットの調整が可能なメーカーを選ぶ必要があります。
当メディアでは、締結の不具合やトルク管理に課題を感じている方に向けて、トルク管理をしながら安定的なねじ締めの実現に貢献する、おすすめのネジ締め機3選を紹介しています。属人化やトルクの不安定さに悩みがある方はぜひチェックしてください。
適切な力でねじ締めを行うためのトルク管理は、製品の品質や安全性を維持するうえで不可欠です。また、トルク管理には複数の方法があり、精度やコストに違いがあります。さらに、材質や用途に応じた適正なトルクとビットの調整により、安定した締結を実現することが可能であるため、メーカー選びの重要なポイントの1つになります。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。