適したワークと
ねじサイズから探す
製造現場で「ビットがブレる」「ねじ頭にまっすぐ当たらない」といったトラブルに悩まされていませんか？これらは、いわゆる“芯ブレ”が原因で発生する現象です。芯ブレはトルク精度の低下やねじ山の損傷にもつながり、品質に大きな影響を与えます。
このページでは、芯ブレの仕組みや原因をわかりやすく解説し、現場でできる対策から自動化による安定化の方法まで紹介します。
芯ブレとは、ねじ締めの際にドライバービットの中心軸とねじ頭の軸が一致せず、軸ズレや回転のブレが生じる現象を指します。この状態では、ビットがねじ頭に正しく食い込まず、ねじ山を潰したり、トルクがうまく伝わらなかったりといった不具合につながります。人の手による作業では、特に起こりやすく、品質のばらつきや作業効率の低下にも直結します。
作業者がねじ頭に対してビットを斜めに当ててしまうと、回転軸がズレて芯ブレが発生しやすくなります。特に小型製品や狭所での作業では、姿勢が安定しづらく、ビットの入り角度にズレが生じやすいため注意が必要です。
安価なビットや摩耗した工具では、軸精度が不十分なことがあります。ビットの芯が出ていない状態で使用を続けると、締め付け時に軸がブレやすくなり、ねじ頭を正しく捉えることができません。
ねじを締める際の押し圧が弱すぎたり、締めながらビットが動いてしまうと、軸が安定せず芯ブレが起こります。一定の押圧を維持しながらねじ込むことが重要ですが、人の手作業では再現性が乏しく、作業ごとの差が出やすい要因です。
ねじを締める対象物（ワーク）がしっかり固定されていない場合、締付け中に微妙に動いてしまい、ビットとの軸が合わなくなることがあります。作業台や固定治具が不安定だと、ねじ込み方向にズレが生じ、芯ブレの原因になります。
芯ブレを防ぐには、まずビットの状態を見直すことが重要です。摩耗や曲がりが見られるビットは早めに交換し、できるだけ高精度な製品を使用しましょう。特に量産工程では、日常点検や定期交換のルール化が効果的です。
ビットをまっすぐねじに当てるためには、作業姿勢や手の保持方法も重要です。安定した姿勢が取れる作業台の導入や、ねじの位置を固定できる簡易治具を使用することで、作業者による角度ズレを抑えることができます。
芯ブレの根本的な解決には、ネジ締め機の導入がおすすめです。自動化することで、一定の押圧と軸方向の安定を機械的に保つことができるため、人によるばらつきを大幅に減らせます。作業精度が求められる製品や、大量生産を行う場合には自動化を検討すると芯ブレの発生を抑えることができるでしょう。
芯ブレの発生を抑えるには、ねじに適したビットを選び、摩耗の管理や押圧条件の統一が欠かせません。ねじ締め機の導入により、締め付け姿勢や押し圧も安定させることができるため、芯ブレを防ぐ体制づくりにつながります。メーカーによっては、ねじやワークに合わせたビット形状のカスタマイズも行っているのでチェックしておきましょう。
当メディアでは、トルクの制御を自動で行える機種の中から、ねじのサイズやワークに合わせて選べるおすすめのネジ締め機3選を紹介しています。芯ブレを防ぎながら安定的かつ効率的なねじ締めを実現したい方は、ぜひチェックしてください。
手作業では、雄ねじと雌ねじの芯を合わせづらく、ビットの芯ブレが発生していた。また、ネジ締めロボットでは芯を合わせる機構が別途必要だった。
日本テクナートのネジ締め機は、芯ブレが小さく、手作業でのストレスフリーなねじ合わせが可能になった。ネジ締めロボットでも芯合わせ機構を別で用意することなく、そのままねじを締め付けることができた。
※参照元：日本テクナート公式HP （https://www.technart.com/solution/case5.html）
自動機のねじ締め工程において、ビットの長さが足りないため、溶接でビットをつないで伸ばして使用していたが、ビットが芯ブレしてしまい、ねじにうまく入らない課題があった。
ビットの長さを最大500mmまで延長できるロングタイプのビットを製作し、芯ブレの課題を解消した。
※参照元：ベッセル公式HP（https://www.vessel.co.jp/btob/feature/4988.html）
芯ブレは作業姿勢・工具精度・ワークの安定性など、複数の要因が絡み合って発生します。見落としがちな原因も多いため、締め付け工程を細かく観察し、改善点を洗い出すことが大切です。中でも、生産数の多い現場や高精度を求められる製品では、自動化による再現性の確保が芯ブレ対策に直結します。まずは身近な工具から見直し、自動化を進めることをおすすめします。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品（※以下、「ワーク」と表記）とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい
精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい
定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい
最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格（JIS B0201）では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。