適したワークと
ねじサイズから探す
樹脂部品のネジ締めでは、「規定トルクで締めたのに割れる」「数日後にクラックが入る」といったトラブルが後を絶ちません。金属とは異なる樹脂特有の性質を理解せずに管理すると、重大な品質事故につながります。本記事では、JIS規格などの「標準トルク」に頼らず、製品ごとに適した「適正トルク」を導き出す手順と、破損を防ぐための具体的な対策を解説します。
樹脂は金属と異なり、温度や時間経過によって変形する「クリープ特性」や「応力緩和」を持っています。そのため、金属用の標準的なトルク管理をそのまま適用すると、締め付け力が維持できなかったり、逆に過剰な応力がかかり続けたりして破損を招きます。樹脂の特性に合わせた、製品ごとの限界値を見極める個別設計が不可欠です。
ねじ込み時の膨張にボスが耐えられないケースです。一般的にボスの外径は下穴径の2.1~2.5倍程度が適当とされていますが、肉厚にしすぎると成形時の「ヒケ」の原因にもなるため、バランスの取れた設計が必要です。
電動ドライバーのトルク設定が不適切で、メネジ山を破壊(ストリッピング)してしまう現象です。
製造時は問題なくても、切削油や洗剤などの薬品が樹脂に浸透し、応力集中部から時間が経って亀裂が入る現象です。
樹脂締結には万能な正解値がないため、実測データから目標値を設定します。
目標トルクは、Ts(確実に締まる)とTf(壊れる)の間に設定する必要があります。一般的には、破壊トルクTfに対して安全率を考慮し、かつ着座トルクTsを上回る値を設定します。このTsとTfの差(トルクバンド)が広いほど、量産時の管理が容易になります。
樹脂のようにトルク管理幅が狭いワークでは、手作業のバラツキが不良の主因となります。自動機は設定したトルク・速度を常に一定に保つため、作業者の熟練度に依存せず、斜め締めや締め不足を防ぐことが可能です。
トルクが設定範囲を外れた場合、センサーが検知して停止します。これにより、不良品の流出を防ぐことにつながり、信頼性を向上させることができます。
樹脂のネジ締め不良を防ぐには、まず「ボス設計(外径・肉厚)」を適切に行い、次に実測に基づいて「着座トルク(Ts)」と「破壊トルク(Tf)」の間で適正な目標値を定めることが重要です。その上で、トルク管理の難易度が高い場合は、自動ネジ締め機による数値管理を導入し、工程能力を高めることで、長期的な品質安定とコスト削減が期待できます。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。