SIer(システムインテグレータ)の活用による課題解決

目次

ネジ締め自動化は「かじり」や「供給ミス」などの繊細な課題が多く、自社完結は困難です。そこで重要となるのが、高度な技術と知見を持つSIer(システムインテグレータ)の活用です。本記事では、SIerがどのように課題を解決し、安定稼働を実現するのか、その役割を詳しく解説します。

ネジ締め自動化が求められる背景

多くの製造現場では、ネジ締め作業が手作業で行われています。しかし、作業者の疲労による締め付けトルクのばらつきや、締め忘れなどのポカミスが品質リスクとなるケースは少なくありません。近年は人手不足の深刻化もあり、ネジ締め工程を自動化したいというニーズが高まっています。

「波形解析」による高度な品質保証

多くの現場が抱えるネジ浮きの見逃しという課題に対し、SIerは単なる数値管理を超えた品質保証を提供します。一般的なトルク管理(設定値に達したら停止する制御)だけでは、ネジ山の干渉などによる「擬似的な締め付け完了」を判別できません。

これに対し、SIerはトルク・回転数・時間を軸としたトルク波形解析を導入します。正常な波形パターンとリアルタイムで照合することで、わずかな浮きや異物混入を自動で検知し、全数検査と同等の信頼性を高めます。また、これらのデータを保存しトレーサビリティを確保することで、将来の品質改善に直結するデジタル基盤を構築します。

チョコ停を防ぐ特注設計とメカ調整

自動化ラインの稼働率を下げる要因は、パーツフィーダ(供給機)での詰まりや、ビットからのネジ脱落といった「チョコ停(一時的な設備停止)」です。SIerは使用するネジの特性や工場の環境までを考慮し、供給路や先端工具をオーダーメイドで設計します。 市販の汎用品では対応が難しい特殊形状のワークに対しても、安定した吸着や保持を可能にする特注スリーブを開発し、安定稼働を実現します。

現場の運用に即したメカ設計と、経験に基づいた「詰まりにくい」調整を施すことで、安定稼働を実現できるのがSIer活用の大きなメリットです。

導入リスクを低減するPoC(概念実証)

「本当に自動化が成立するか」という投資リスクの解消も、SIerが果たす重要な役割です。ネジ締めはワークの材質や穴の形状により、机上の理論通りにいかないケースが多々あります。

そこでSIerは、導入前に実際のワーク(対象物)を用いた「PoC(概念実証)」を実施します。実機による検証を通じて、目標とするサイクルタイムや成功率をデータで可視化するため、企業側は根拠のある投資判断が可能になります。また、導入後のメンテナンス教育やトラブル対応フローの構築まで含めた支援により、現場が主体的に運用できる体制を整えられます。

編集チームまとめ

ネジ締めの自動化は、単なる機器の導入ではありません。現場特有の微細な変動をいかに制御し、品質をデータで提示できるかが鍵となります。SIerの活用は、高度なトルク解析や特注治具、PoCによる検証といった専門知見を取り入れることで、内製では困難な「高稼働なライン」の構築を可能にします。

投資対効果を高め、長期的な生産性と品質保証の両立を目指す上で、SIerは戦略的パートナーと言えるでしょう。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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