適したワークと
ねじサイズから探す
ネジ締め工程ではトルク管理に注目が集まりがちですが、もうひとつ重要なパラメータが押し付け力(スラスト力・推力)です。不足でも過大でも締結不良の原因となるこの力について、基本から自動化ラインでの管理ポイントまでを解説します。
押し付け力(スラスト力・推力)とは、ビットがネジのリセス(十字穴や六角穴)に正しくかみ合うために必要な、軸方向の荷重のことです。
回転トルクだけでなく、この「押す力」が適切に働いて初めて、ネジへ確実にトルクを伝達することができます。トルク管理と押し付け力の管理は、セットで考えることが重要です。
押し付け力は「少なすぎ」も「多すぎ」も不良につながります。それぞれの症状を以下の表にまとめました。
| 状態 | 起こりやすい不良 | 主な影響 |
|---|---|---|
| 押し付け力が不足 | カムアウト(ビットの滑り外れ) | リセス損傷・ネジ浮き・締め付け不足 |
| 押し付け力が過大 | ボス割れ・ネジ頭のなめ(潰れ) | ワーク破損・ビット早期摩耗 |
押し付け力が足りないと、ビットがネジ頭から滑り外れる「カムアウト」が発生しやすくなります。カムアウトが起きると、リセス(ネジ頭の溝)が損傷して再使用できなくなるほか、締め付けトルクが十分に伝わらず、ネジ浮きや締め付け不足にもつながります。
手作業では作業者が無意識に力加減を調整できますが、自動化ラインでは設定値が低すぎると同じ不良が連続して発生するリスクがあります。
逆に押し付け力が強すぎると、樹脂製ワークのボス(ネジ穴まわりの突起)が割れたり、樹脂部品や薄肉部品が変形するリスクがあります。また、過大な荷重や不適切な締付条件では、ネジ頭の損傷やビットへの負荷増加を招くことがあります。
特に微小ネジや樹脂部品では、ごくわずかな過荷重が致命的な不良につながるため注意が必要です。
バネ加圧やエア加圧などの加圧機構を用いることで、軸方向の荷重を安定して与えやすくなります。ワークや生産条件に応じて適切な方式を選定してください。
ネジのサイズや材質ごとに押し付け力の適正値を決め、設備に登録します。品種切り替え時の設定ミスを防ぐことにもつながります。
トルク制御や締付深さ(Z軸位置)管理と組み合わせることで、より精度の高い品質管理が実現します。機種選定の際は、押し付け力の調整機能が備わっているかも確認するとよいでしょう。
ネジ締めの品質を安定させるには、トルク管理と並んで押し付け力の適正化が欠かせません。不足すればカムアウトやネジ浮き、過大なら製品破損やビット摩耗を招きます。
自動化ラインでは、ワーク・ネジサイズ・材質に合わせて押し付け力を設定・制御できる機種を選ぶことがポイントです。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。