ネジ締め時の焼付きが起こる原因と対策

目次

ネジ締め工程では、かじり(焼付き)と呼ばれるトラブルが発生することがあります。焼付きが起こるとネジが回らなくなり、取り外しも困難になるため、部品の破損や作業工数の増加につながります。特にステンレス製のネジやボルトで発生しやすい現象として知られています。本記事では、焼付きの仕組みや原因、対策方法について解説します。

ネジ締めにおける焼付き(かじり)とは

焼付きが発生する仕組み

焼付きとは、ネジやボルトの締付時にネジ山同士の接触面で不動態皮膜が破壊され、金属同士が凝着することで発生する現象です。摩擦熱や高い接触圧力が加わることで発生しやすくなります。

ステンレスは表面に不動態皮膜を形成していますが、締付時の高い面圧や摩擦によって局所的に皮膜が破壊されると、露出した金属同士が凝着しやすくなります。一度焼付きが起こると、通常の方法で取り外すことが難しくなる場合があります。

焼付きによって発生する問題

焼付きが発生すると、ネジやボルトの締付作業を継続できなくなります。無理に回そうとすると、ネジ頭の破損やボルトの折損を招くこともあります。また、部品交換や再組立てが必要になるため、作業時間やコストの増加につながります。量産現場では生産性や品質にも影響を及ぼすため、事前の対策が重要です。

ネジ締めで焼付きが発生する主な原因

同材質の締結による凝着

ステンレス同士など同じ材質のネジとナットを組み合わせると、接触面で凝着が発生しやすくなります。特に潤滑が不足した状態では焼付きのリスクが高まります。

締付速度が速すぎる

締付速度が速すぎると、ネジ山の接触部で発熱しやすくなり、焼付きが発生しやすくなる場合があります。特にステンレス製の締結部では注意が必要です。

斜め締めや位置ズレ

ネジがまっすぐ挿入されていない状態で締め付けると、一部のネジ山に大きな負荷が集中します。その結果、摩擦が増加し、焼付きが発生しやすくなります。ネジの位置合わせが不十分な状態での作業は、締結不良だけでなく焼付きの原因にもなります。

切粉や異物の噛み込み

ネジ山に切粉やゴミなどの不純物が付着していると、締付時の摩擦が大きくなります。異物による抵抗が増えることで発熱しやすくなり、焼付きのリスクが高まります。締結前にネジや相手材の状態を確認することが重要です。

トルク過多

必要以上の締付トルクを加えると、ネジ山同士の接触圧力が高まります。その結果、摩擦熱が発生しやすくなり、焼付きの要因となります。適切な締付条件で作業を行うことが焼付き防止につながります。

焼付きを防ぐための対策

潤滑剤や表面処理ネジを活用する

焼付き対策として、潤滑剤の使用や表面処理が施されたネジの採用が挙げられます。摩擦係数を低減することで発熱を抑えられるため、焼付きの発生リスクを軽減できます。ステンレスボルトの締結では特に有効な方法として知られています。

ネジやワークを清掃する

ネジ山や相手材に付着した切粉や異物を除去することも重要です。異物による摩擦増加を防ぐことで、焼付きの発生を抑制できます。締結前の清掃や保管環境の管理は、基本的な品質対策の一つです。

締付速度とトルクを適切に管理する

焼付き防止には、締付速度と締付トルクの管理が欠かせません。必要以上に高速で締め付けたり、過大なトルクを加えたりすると焼付きが発生しやすくなります。適切な条件で作業を行うことが、安定した締結品質につながります。

ステンレス同士の組み合わせを見直す

ステンレスボルトとステンレスナットの組み合わせは焼付きが発生しやすいとされています。用途によっては異材質の組み合わせや表面処理品の採用を検討することも有効です。

焼付き対策にはネジ締め機による自動化も有効

手作業によるネジ締めでは、作業者ごとに回転速度や締付トルクにばらつきが発生することがあります。その結果、焼付きや締結不良のリスクが高まる場合があります。ネジ締め機を活用すると、設定した回転数やトルクで安定した締付が可能になります。また、自動ネジ締め機や位置決め機構を備えたネジ締め設備を活用することで、ネジの傾きを抑えながら安定した締付が可能になります。

まとめ

ネジ締め時の焼付きは、ネジ山同士の凝着や高い接触圧力、異物の噛み込み、過大な締付トルクなどによって発生するトラブルです。焼付きが起こるとネジや部品の破損、生産効率の低下につながるため、適切な対策が求められます。潤滑剤の活用や清掃、締付条件の管理に加え、ネジ締め機による自動化を導入することで、より安定した締結品質の実現が期待できます。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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