適したワークと
ねじサイズから探す
エアードライバーやエアナットランナー(以下、エア工具)は、ネジ締め工程で広く使用されている工具です。一方、品質管理や締結データの記録、圧縮空気にかかるコストなどを考慮し、電動ネジ締め機への置き換えを検討する現場もあります。
ただし、エア工具から電動ネジ締め機への置き換えは、単純に工具を入れ替えるだけでは対応できない場合があります。トルクレンジや反力、電源・通信環境、作業方法などを確認し、既存工程への影響を考慮することが重要です。本記事では、エア工具から電動ネジ締め機へ置き換える際に想定される代表的な課題と、その対策を解説します。
エア工具を継続して使用する場合、設備や工程の条件によっては、次のような課題が生じることがあります。電動化を検討する際は、自社工程に当てはまる課題があるかを確認しましょう。
| 課題 | 起きている事象 | 現場への影響 |
|---|---|---|
| トルク管理 | 供給エア圧や工具の状態などによって締結条件が変化する可能性がある | 締め付け不足・締め付け過ぎなどの品質リスクにつながる可能性 |
| 締結データの記録 | 工具単体では締結ごとのトルク値やOK/NG判定などを記録できない場合がある | 締結履歴を必要とする工程では、別途計測・記録の仕組みが必要 |
| 圧縮空気のコスト | コンプレッサや配管など、圧縮空気を供給するための設備が必要 | 電力使用量や設備の維持管理にかかるコストが発生 |
| 保全負荷 | エアフィルタやホース、カプラなどの点検・交換が必要 | 保全工数や消耗品費が発生 |
| 作業環境 | 排気音や排気エア、使用するエア工具の仕様によってはオイルミストなどが発生する場合がある | 作業環境や清浄度への配慮が必要になる場合がある |
エア工具から電動ネジ締め機へ置き換える際は、工具の仕様だけでなく、作業環境や設備、データ管理なども含めて検討する必要があります。ここでは、代表的な5つの課題と対策を紹介します。
エア工具から電動ネジ締め機へ置き換える際は、現在の締結条件を正確に把握したうえで機種を選定する必要があります。必要なトルク範囲を十分に確認せず選定すると、要求される締結条件に対応できなかったり、必要以上の能力を持つ機種を選んでコストが増えたりする可能性があります。
現在使用しているエア工具の設定値だけでなく、実際の締結状態や対象ワークの要求トルクを確認し、必要なトルク範囲を整理します。そのうえで、使用頻度の高いトルク帯や締結条件に適した電動ネジ締め機を選定しましょう。必要に応じてメーカーに実ワークでのトライアルを依頼し、締結結果を確認することも有効です。
電動ネジ締め機をハンドヘルドで使用する場合、締結時に発生する反力が作業者の手や腕にかかることがあります。特に高トルクの締結や繰り返し作業では、工具の重量や反力、作業姿勢を含めて検討する必要があります。
トルクアームやカウンターバランサなどの反力対策機器を組み合わせたり、作業内容に適した電動工具を選定したりします。反力の大きさは工具の方式や締結条件によって異なるため、カタログ上の仕様を確認するとともに、実機トライアルで作業者の負担や作業姿勢を確認することが重要です。
電動ネジ締め機を導入する場合、工具本体だけでなく、コントローラや電源、必要に応じて通信環境なども検討する必要があります。既存ラインの電源容量や設置スペース、通信設備を確認せずに導入を進めると、追加工事が必要になる可能性があります。
機種選定と並行して、電源容量や配線、コントローラの設置場所、PLCや上位システムとの通信方式などを確認します。既存設備との接続が必要な場合は、設備担当者や制御担当者とも早い段階から仕様を共有しておきましょう。
エア工具から電動工具に切り替えると、工具の重量や操作感、締結速度などが変わる場合があります。そのため、工具だけを入れ替えて従来の作業方法をそのまま使用すると、作業時間や動線に影響する可能性があります。
導入前後で実際の作業時間や動線を確認し、必要に応じて標準作業書や作業手順を見直します。ハンドヘルド工具を使用する場合は、工具の持ち方や反力への対応方法などについても作業者へ周知しましょう。
電動ネジ締め機への置き換えでは、工具本体だけでなく、コントローラや周辺設備などの導入費用が発生する場合があります。そのため、単純な工具価格だけで比較すると、電動化による効果を正しく評価できません。
導入費用だけでなく、圧縮空気の使用量や保全費、締結不良によるコスト、作業時間、データ記録に必要な工数なども含めて比較します。複数のメーカーから見積もりや導入事例を取得し、自社工程で期待できる効果を試算したうえで判断することが重要です。
エア工具を一度に全面的に置き換えるのではなく、工程ごとの必要性や導入効果を確認しながら段階的に進める方法もあります。一般的には、以下のような流れで検討するとよいでしょう。
エア工具から電動ネジ締め機への置き換えでは、「電動工具のほうが優れている」と一律に判断するのではなく、自社工程にどのような効果があるかを確認することが重要です。
| 検討項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 品質 | 必要なトルク・角度などを安定して管理できるか |
| トレーサビリティ | 締結結果を記録・保存できるか、上位システムと連携できるか |
| 作業性 | 工具重量や反力、操作性が作業者の負担にならないか |
| 生産性 | 締結時間や段取り時間が既存工程と比べてどう変化するか |
| コスト | 初期費用だけでなく、圧縮空気や保全などのランニングコストも含めて比較できているか |
エア工具から電動ネジ締め機への置き換えを検討する際は、工具の価格やトルク性能だけでなく、締結品質、データ管理、作業性、設備環境、ランニングコストまで含めて比較することが重要です。
特に、締結データの記録や作業者の負担軽減など、現在の工程で抱えている課題を明確にしたうえで、必要な機能を備えた電動ネジ締め機を選定しましょう。実ワークを使ったトライアルで締結品質や作業性を確認してから導入を進めると、既存工程とのミスマッチを抑えやすくなります。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。