適したワークと
ねじサイズから探す
組立工程では、ネジを横方向から締める工程や、下から上に向かって締める工程、斜め方向から締める工程などがあります。エアコン室外機の底面や自動車部品、産業機器の筐体など、締結方向が下向きに限定されない製品では、重力を利用したネジの供給や保持が難しくなるケースがあります。
本記事では、ネジを横方向・上方向・斜め方向から締める際に発生する課題と、ネジの供給方法・保持機構・ロボットによる姿勢制御などの対策を解説します。
ネジの締結方向が変わると、重力を利用した供給や、ビット先端でのネジ保持が難しくなることがあります。また、締結位置やワーク形状によっては、工具の進入方向やネジの搬送方法も制約を受けます。
| 締結方向・状況 | 発生しやすい課題 | 現場への影響 |
|---|---|---|
| 横方向からの締結 | ネジをビット先端で安定して保持しにくい | ネジ落下や位置ずれが発生する可能性がある |
| 下から上方向への締結 | 重力を利用したネジの保持ができない | 重力式の供給・保持方式では対応が難しい |
| 斜め方向からの締結 | 締結方向や工具の進入角度が製品によって異なる | 専用治具や段取りの検討が必要になる |
| 筐体内部など視認しにくい箇所 | ビットとネジ穴の位置関係を確認しにくい | 位置ずれやネジ頭の損傷などが発生する可能性がある |
このような工程では、単にネジ締め機を選定するだけでなく、ネジをどのように供給するか、締結位置までどのように保持するかをあわせて検討する必要があります。
下向き以外の方向からネジを締める場合、ネジの供給方式と、締結直前にネジを保持する方式を分けて考えることが重要です。
| 分類 | 方式 | 仕組み | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 保持 | バキューム保持 | 真空を利用してネジを保持する | 小径ネジや磁力による保持が難しいネジ | 真空源や配管・チューブの取り回しを考慮する必要がある |
| 保持 | マグネット保持 | 磁力を利用してネジを保持する | 磁力で保持できるネジ | ネジの材質や磁性によって保持力が異なる |
| 保持 | 機械式保持機構 | 爪やスリーブなどの機構でネジを保持する | 磁力や真空以外の方法で保持したい場合 | ネジ形状やサイズに合わせた機構の検討が必要 |
| 供給 | エア給送 | エアを利用してネジを締結位置付近まで搬送する | 重力による供給が難しい姿勢や、離れた位置への供給 | ネジ形状やサイズ、搬送経路によって適用可否が異なる |
例えば、横方向や上方向から締結する場合、ネジをビット先端まで搬送できても、その後にネジが落下してしまえば安定した自動締結はできません。
そのため、「供給できるか」と「締結位置まで保持できるか」を別々に確認することが重要です。
締結箇所の方向が複数ある場合は、ネジ締めユニットを搭載したロボットを活用する方法があります。
特に多関節ロボットは、工具の姿勢を変更しながら複数方向の締結に対応できるため、横方向・上方向・斜め方向など、締結方向が混在する工程で活用を検討できます。
一方、締結方向が一方向(すべて水平方向など)に限定されている場合は、直交ロボットやスカラロボットにネジ締めユニットを固定して使用したり、専用機を採用したりする方法もあります。
ロボットを活用する場合は、ネジ締めユニットだけでなく、ロボットの可搬重量やリーチ、必要な位置決め精度、ワークのばらつきへの対応などを確認する必要があります。
また、ケーブルや給送ホースとの干渉、作業エリアの安全対策、非常停止なども設備全体で設計しなければなりません。ロボットメーカーやSIer、ネジ締め設備メーカーなどと連携し、工程全体を踏まえて仕様を検討することが重要です。
下向き以外の方向からネジを締める工程では、ネジが落下した場合の対応も重要です。
特に、落下したネジが筐体や製品内部に残った場合、異音や故障、品質不良などの原因となる可能性があります。
そのため、自動化設備を設計する際は、ネジが正常に供給・保持されているかを確認する方法や、ネジが落下した場合の回収方法をあらかじめ検討しておく必要があります。
検討項目としては、次のようなものがあります。
実際に使用する検知方法は、ネジの供給方式や設備構成によって異なるため、採用する機器やシステムに合わせて検討することが必要です。
ネジを横方向や上方向、斜め方向から締める工程では、重力を利用したネジの供給や保持が難しくなる場合があります。しかし、ネジの供給方式と保持機構を工程条件に合わせて選定することで、自動化を検討できるケースがあります。
重要なのは、ネジの材質やサイズだけでなく、締結方向、ネジの供給経路、締結位置までの保持方法を整理することです。複数の締結方向が混在する場合は、多関節ロボットの活用も選択肢となります。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。