アルミ部品のネジ締めを自動化するには

目次

アルミニウム合金は、軽量性や加工性などの特長から、自動車や産業機器、各種装置の部品に使用されています。一方で、アルミ部品へのネジ締めでは、母材のねじ部や座面への影響、摩擦条件による締結状態のばらつきなどを考慮する必要があります。

特に自動化では、人手による作業では気付きやすい異常も、そのまま連続して発生する可能性があります。そのため、使用するネジや部品の材質・形状に合わせて、締結条件や異常検知の方法を設計することが重要です。

本記事では、アルミ部品のネジ締めを自動化する際に発生しやすい課題と、締結条件の設定や管理方法、自動ネジ締め機を選定する際のポイントを解説します。

アルミ部品のネジ締め自動化で発生しやすい課題

アルミ部品への締結では、母材のねじ部や座面の状態、ネジと部品の組み合わせ、摩擦条件などによって、締結結果が変化することがあります。

課題 発生しやすい事象 品質への影響
めねじの損傷 締結条件やねじのかかり長さが適切でない場合、ねじ山が損傷する 必要な締結力を確保できなくなる可能性がある
カジリ ねじ部の摩擦や材料の組み合わせ、表面状態などにより、締結トルクが異常に上昇する 締結途中で停止したり、ネジや部品が損傷したりする可能性がある
座面の変形 締結時の荷重によって座面が局所的に変形する 締結状態や軸力に影響する可能性がある
摩擦条件のばらつき ネジや座面の表面状態、潤滑状態などによって締結トルクが変化する 同じ締結条件でも得られる軸力が変動する可能性がある
締結位置のばらつき ワークやネジ穴の位置にばらつきがある ビットの位置ずれやネジの斜め入りなどが発生する可能性がある

このような課題を抑えるためには、ネジ締め機の能力だけでなく、ネジの種類や締結部の構造、部品のばらつきも含めて締結条件を検討する必要があります。

対策① 締結条件をアルミ部品に合わせて設定する

アルミ部品へのネジ締めでは、ネジの種類やサイズ、ねじのかかり長さ、締結部の形状などによって適切な締結条件が異なります。

設定した目標トルクだけで管理するのではなく、必要に応じて締結角度や締結時のトルク変化なども確認することで、締結状態をより詳しく把握できる場合があります。

トルク管理

トルク管理では、あらかじめ設定したトルク値に達したかどうかを確認します。ただし、実際の締結状態はネジや座面の摩擦条件などの影響を受けるため、目標トルクだけでは判断が難しい場合もあります。

トルクと締結角度を組み合わせた管理

締結トルクに加えて、ネジの回転角度を確認する方法もあります。トルク値と角度の両方を監視することで、設定した締結パターンから大きく外れた場合に異常を検知しやすくなる場合があります。

ただし、適切な管理方法は、ネジの種類や締結部の構造、求められる品質によって異なります。すべてのアルミ部品への締結で角度管理が必要になるわけではありません。

対策② カジリや座面への影響を考慮してネジと締結条件を選定する

アルミ部品への締結では、ネジや締結部の表面状態、材質の組み合わせ、摩擦条件などが締結結果に影響することがあります。また、締結荷重や部品形状によっては、座面の変形にも注意が必要です。

そのため、ネジや締結部の仕様とあわせて、以下のような対策や締結条件を検討することが重要です。

どの方法が適しているかは、使用するアルミ合金の種類だけでなく、ネジ径やねじのかかり長さ、締結荷重、部品形状、求められる耐久性などによって異なります。

対策③ 自動ネジ締め機に必要な管理・検知機能を確認する

アルミ部品のネジ締めを自動化する際は、単純に設定トルクで締結するだけでなく、工程に必要な締結データの取得や異常検知に対応できるかを確認することも重要です。

確認項目 確認したいポイント
トルク管理 設定したトルク値に基づいて締結結果を判定できるか
角度管理 必要に応じて締結角度を取得・判定できるか
締結データの記録 トルクや角度など、必要な締結データを保存できるか
OK/NG判定 設定した管理値から外れた締結を検出できるか
異常時の制御 異常なトルク変化などを検出した際に停止できるか。必要に応じて逆転や再締結などの制御を設定できるか

必要な機能は、すべての工程で同じではありません。求められる締結品質や生産量、トレーサビリティの要件に応じて選定することが重要です。

自動化前に確認したいポイント

アルミ部品のネジ締めを自動化する前には、実際の締結条件を整理したうえで、実機による評価を行うことが重要です。

これらの条件を整理せずに設備を選定すると、導入後に締結条件の見直しや治具の変更が必要になる可能性があります。実際の部品とネジを使用したテストを行い、締結状態やタクトタイムを確認したうえで設備仕様を決定しましょう。

編集チームまとめ

アルミ部品のネジ締め自動化では、めねじの損傷やカジリ、座面への影響、摩擦条件による締結状態のばらつきなどを考慮する必要があります。

重要なのは、自動ネジ締め機の性能だけで判断するのではなく、部品の材質や締結部の構造、ネジの仕様、求められる品質に合わせて締結条件と管理方法を設計することです。

トルク管理に加えて、必要に応じて締結角度や締結データを活用する方法も検討し、実機テストを通じて自社の工程に適した自動化設備を選定しましょう。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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