適したワークと
ねじサイズから探す
自動車部品や医療機器の製造現場では、品質保証や顧客要求への対応を目的として、締結工程の履歴管理が求められるケースがあります。IATF 16949やISO 13485などの品質マネジメント規格への対応に加え、完成品メーカーなどの顧客から個別に品質管理やトレーサビリティを求められる場合もあり、締結データをどのように記録・管理するかが課題となることがあります。
本記事では、ネジ締めのトレーサビリティ(履歴管理)に関して現場で生じる代表的な課題と、自動ネジ締め機を活用した対策について解説します。
ネジ締め工程における「トレーサビリティ非対応」の状態が続くと、次のような課題が現場で発生します。
| 課題 | 起きている事象 | 波及するリスク |
|---|---|---|
| 締結データが残らない | 作業者の目視・感覚で締結を判定 | 監査で必要な記録を提示できず、追加確認や是正対応が必要になる可能性 |
| NG発生時の絞り込み不能 | 不良品のロット範囲が特定できない | 対象範囲の特定が難しくなり、原因調査や対応に時間がかかる可能性 |
| 判定が作業者に依存 | 締結状態の確認を目視や作業者の判断に頼る | 判定のばらつきや確認漏れにつながる可能性 |
| 手作業による記録・転記 | 締結結果を紙やデータに記録し、人が別システムへ転記 | 転記ミスや保管漏れが発生する可能性 |
| 工具寿命が管理しにくい | 工具やビットの使用回数を把握しにくい | 工具交換のタイミングを判断しにくくなる可能性 |
自動車業界では、IATF 16949などの品質マネジメント規格への対応に加え、顧客要求や製品・工程のリスクなどに応じて、重要な工程や特性を管理することが求められます。締結工程についても、製品の安全性や品質に関わる場合には、締結条件や結果の記録・管理が必要となることがあります。
また、医療機器分野では、ISO 13485やQMS省令に基づき、製造工程や製造記録を適切に管理することが求められています。締結工程についても、製品や工程のリスク、顧客要求などに応じて、条件や結果を記録・管理する場合があります。
航空・宇宙分野でも、JIS Q 9100などの品質マネジメント規格に加え、顧客要求や製品の特性に応じて、製造・組立・検査などの記録を管理することがあります。
完成車メーカーなどの顧客からは、品質管理やトレーサビリティについて個別の要求が設定される場合があります。締結工程についても、製造条件や締結結果の記録、保存方法などが要求されることがあるため、適用する規格だけでなく、顧客仕様書や取引先の品質要求を確認することが重要です。
市場で締結不良に起因する事故や不具合が発生した場合、該当ロット・該当個体の締結データを確認できれば、原因調査や対象範囲の特定に役立ちます。手作業や紙ベースで管理している場合は、必要な情報を探すのに時間がかかることがあるため、締結データを製品情報と関連付けて管理できる仕組みが有効です。
最も直接的な対策は、締結1本ごとに以下のようなデータを自動で取得・記録できる自動ネジ締め機に置き換えることです。
| 取得データ | 内容 |
|---|---|
| 締結トルク値 | 実測ピークトルクまたは着座後の締結トルク |
| 締結角度 | スナグ点からの回転角度(角度法対応機) |
| 回転数・締結時間 | ソフトスタートから完了までの回転挙動 |
| OK/NG判定結果 | 設定した上下限窓に対する良否判定 |
| ワークID | ロット番号・シリアル番号(バーコード連携) |
| 工程情報 | ライン番号・ステーション番号・締結ポイント番号 |
| 時刻・作業者ID | 日時と担当者情報(ICカード等) |
| 工具ID・締結回数 | ツール個体識別・累積締結カウント |
必要なデータを取得・記録できる設備を導入することで、締結結果の確認や履歴管理を効率化できます。実際に取得できるデータや保存方法は機種・コントローラ・ソフトウェアの構成によって異なるため、導入前に確認することが重要です。
取得した締結データは、ネジ締め機や専用ソフトで管理できるほか、MESなどの上位システムと連携することで、ワークIDや生産履歴などと関連付けて管理できます。必要な管理範囲や既存システムの構成に応じて、適した連携方法を検討することが重要です。
CSV/XMLを日次・ロット単位で出力して共有サーバへ格納する方式。改ざん防止・保管期間の運用ルールを整備することが前提です。
Ethernet/EtherNet-IP/PROFINET/OPC UAなど、製品が対応する通信方式を利用して締結結果をMESへ送信する方式。ワークIDとの紐付けや、締結結果に応じた後工程への判定情報の受け渡しなどに活用できます。
メーカー純正または汎用IoTクラウドと連携し、複数拠点の締結データを一元管理する方式。海外拠点を含めた品質可視化・是正措置の共有に有効です。
トレーサビリティ対応を検討する際は、自社の品質管理や顧客要求に必要なデータを取得・保存できるかを確認することが重要です。以下のような項目を事前に整理しておきましょう。
| 確認カテゴリ | チェック内容 |
|---|---|
| データ項目 | トルクと角度の両方が取得できるか/波形記録の有無 |
| 保存件数 | 内部メモリで何万件保存できるか/自動転送機能の有無 |
| 判定機能 | 上下限窓・時間窓・角度窓を組み合わせた総合判定が可能か |
| 外部通信 | Ethernet/EtherNet-IP/PROFINET/OPC UAなど自社ラインに合うか |
| ワークID連携 | バーコード/2次元コードリーダー入力を標準で受け付け可能か |
| 工具管理 | ツール個体の締結カウント・保全時期の通知機能 |
| データ改ざん防止 | タイムスタンプ/署名/ログ削除防止機能 |
| 帳票出力 | JIS/IATF監査で提示しやすい標準帳票の有無 |
トレーサビリティ対応機を初めて導入する場合の一般的な流れです。
特に品質保証部門と生産技術部門の要件が食い違いやすいポイントのため、着手初期に両部門で仕様を握っておくことが失敗回避の鍵です。
ネジ締めのトレーサビリティ対応では、規格や顧客要求、製品・工程のリスクなどを踏まえて、必要な締結データを適切に記録・管理することが重要です。手作業や従来型の設備ではデータ管理に手間がかかる場合があるため、締結データを自動で取得・記録できる自動ネジ締め機の導入は、履歴管理を効率化する方法の一つです。導入時は、必要なデータ項目だけでなく、ワークIDとの紐付け、保存方法、上位システムとの連携まで確認し、自社の品質管理や顧客要求に適した設備を選定しましょう。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。