適したワークと
ねじサイズから探す
半導体、医薬、食品、医療機器など、クリーンルームや防塵・防水環境で組立を行う工程では、通常のネジ締め機では環境要求を満たせない場合があります。装置自体が発塵源となりクリーンルームの清浄度維持に影響したり、洗浄によって装置内部に水が入り故障したりするなど、環境特有の課題が発生します。
本記事では、クリーンルーム・防塵・防水環境でネジ締めを自動化する際の代表的な課題と、装置仕様・素材選定・運用面での対策を解説します。
クリーンルームや洗浄環境でネジ締めを自動化する場合、通常の設備とは異なる環境要件を考慮する必要があります。主な課題は以下のとおりです。
| 環境 | 起きている課題 | 波及するリスク |
|---|---|---|
| クリーンルーム(半導体・医薬など) | 装置本体や摺動部などが発塵源になる | 清浄度の維持に影響するおそれ |
| 医薬・食品 | 洗浄剤・薬品によって装置表面が腐食する | 装置寿命の短縮・異物混入のおそれ |
| 水洗浄環境(食品など) | 洗浄時に装置内部へ水が侵入する | 電装部品の故障・突発停止 |
| 粉塵環境(電池・粉体など) | 粉塵が摺動部などに入り込む | 動作不良・工具寿命への影響 |
| 防爆エリア(化学など) | 電気機器などが着火源となる可能性がある | 爆発・火災につながるおそれ |
クリーンルームでネジ締めを自動化する場合は、装置自体から発生する粒子や揮発成分などを考慮した仕様選定が重要です。次のポイントを確認しましょう。
エア工具は排気によるコンタミネーションが問題となる場合があるため、クリーンルームでは電動工具への置き換えを検討するケースがあります。実際に、クリーンルームで使用する精密電動ドライバーやナットランナーの事例もあります。
食品・医薬などの洗浄工程や粉塵環境では、装置や電気部品の防塵・防水性能も確認する必要があります。IPコードは、固形物や水に対する保護等級を示す規格です。
| IP規格例 | 意味 | 用途の例 |
|---|---|---|
| IP54 | 粉塵の侵入を完全には防げないが、機器の正常な動作を阻害する量の侵入を防止+あらゆる方向からの水の飛まつから保護 | 一般工場・粉塵環境など |
| IP65 | 粉塵の侵入を完全に防止+あらゆる方向からの噴流水から保護 | 水や粉塵がかかる環境など |
| IP67 | 粉塵の侵入を完全に防止+一時的な水没から保護 | 水がかかる工程など |
| IP69 | 高温・高圧の水による洗浄に対する保護 | 高温・高圧洗浄を行う設備など |
食品ラインなどで高温・高圧洗浄を行う場合は、IP等級だけでなく、実際の洗浄方法や水圧・水温などの条件に装置が対応できるかを確認することが重要です。
医薬・食品などの工程では、装置表面が使用する薬品や洗浄剤に耐えられるかも確認しましょう。素材や表面処理を選ぶ際は、薬品の種類・濃度・温度・接触時間などを考慮する必要があります。
使用する素材だけでなく、シール材や樹脂部品なども含めて、実際の薬品・洗浄条件との適合性を確認することが重要です。
有機溶剤や可燃性粉塵などを扱う工程では、可燃性ガス・蒸気・粉塵による爆発の危険性を考慮する必要があります。危険場所の区分や対象物質などを確認したうえで、必要に応じて防爆仕様の機器を選定します。
日本国内では、防爆電気機器に関する規格として「電気機械器具防爆構造規格」があります。また、国際規格ではIEC 60079シリーズが代表的です。
防爆に必要な仕様は、使用する物質や危険場所の区分などによって異なります。ネジ締め機だけでなく、ロボットや周辺機器を含めて必要な防爆性能を確認し、メーカーや専門機関に相談しながら設備を選定することが重要です。
クリーンルーム・防塵・防水環境でのネジ締め自動化では、発塵・清浄度、防塵・防水性能、素材の耐性、防爆の要否など、工程ごとの環境要件を整理してから機種選定を行うことが重要です。
クリーンルームでは発塵や揮発成分を抑えられる仕様、防水・洗浄環境ではIP等級だけでなく実際の洗浄条件に適した仕様を確認します。また、薬品を使用する工程では素材やシール材などの耐性も確認し、防爆エリアでは危険場所の区分や対象物質に応じて必要な防爆性能を検討します。
自動ネジ締め機を選ぶ際は、締結するネジやボルトの条件だけでなく、清浄度、粉塵、水、薬品などの環境条件も整理したうえで、メーカーに必要な仕様を伝えましょう。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。