適したワークと
ねじサイズから探す
エンジン・ミッションのボルト、シリンダヘッド、ガスケット付きフランジ、電池パックの筐体など、複数本のボルト・ネジを均一に締める工程では、締結順序が品質に影響する場合があります。順序が適切でないと、締結部に偏りが生じ、シール漏れや平面度不良などにつながるおそれがあります。
本記事では、締結順序の管理で発生しやすい課題と、多軸同期締結、締結順序のプログラム管理、段階締めの自動化などによる対策を解説します。
締結順序を目視や作業手順書だけで管理すると、作業者による順序間違いや確認漏れなどが発生する可能性があります。主な課題は以下のとおりです。
| 課題 | 起きている事象 | 波及するリスク |
|---|---|---|
| 締結順序の間違い | 作業者が指定された順序を飛ばして締め付ける | 締結部の片締めやシール漏れなど |
| 軸力のばらつき | 後続のボルト締結によって先に締めたボルトの状態が変化する | 締結品質のばらつき |
| 段階締めの省略 | 仮締めなどを行わず、いきなり本締めする | 締結状態の不均一化 |
| 品種切替時の順序ミス | 品種ごとに異なる締結順序を取り違える | 切替直後の品質不良 |
| 締結状況の確認不足 | 作業者の交代などで締結済みの箇所が分からなくなる | 締め忘れや二度締め |
複数の締結箇所を同時または同期して締め付ける多軸構成を採用することで、逐次締結による締結順序の影響を抑え、締結時間の短縮や締結状態の均一化を図りやすくなります。
多軸同期締結に対応した製品や設備には、複数のナットランナを組み合わせたマルチスピンドルなどがあります。エスティックでは、複数軸の同期締付に対応したマルチスピンドルや自動組立装置を展開しています。
多軸化が難しい工程では、単軸のネジ締め機をロボットやXYテーブルなどと組み合わせ、締結順序をプログラムで管理する方法があります。
トルクや回転角度などを管理できるドライバーやコントローラには、締結条件の設定やデータ管理に対応した製品があります。設備を選定する際は、必要な締結順序やデータ管理機能に対応しているか確認することが重要です。
対角締めなどの締結順序とあわせて、必要に応じて仮締めから本締めまで複数の段階に分けて締結する方法があります。自動ネジ締め機に締結条件を登録することで、設定した順序や条件に沿って段階的に締め付けることが可能です。
| 段階 | 目的 | 締結条件 |
|---|---|---|
| 仮締め | 部品を均等に着座させる | 部品を均等に着座させる条件で締結 |
| 中締め | 締結状態を均一化する | 必要に応じて段階的にトルクを上げる |
| 本締め | 規定の締結状態を確保する | 指定されたトルクなどの条件で締結 |
段階数や各段階の締付条件は、ボルト、ガスケット、部品形状、要求される締結力などによって異なります。実際の工程では、設計仕様や関連規格、メーカーの指示などに基づいて条件を設定することが重要です。
締結順序を装置で管理するだけでなく、締結結果を記録・確認できるようにすることで、品質管理や原因分析にも活用できます。
必要な管理項目は工程によって異なるため、ネジ締め機を選定する際は、締結順序だけでなく、データ保存やOK・NG判定などの機能も確認しましょう。
複数本のボルト・ネジを使用する締結工程では、締結順序が不適切だと締結部の状態が不均一になり、シール漏れや平面度不良などにつながるおそれがあります。
対策としては、多軸同期締結によって締結順序の影響を抑える方法や、単軸のネジ締め機とロボットなどを組み合わせて締結順序をプログラムで管理する方法があります。また、必要に応じて段階締めを自動化し、対応機種では締結結果を記録することで、品質管理にもつなげられます。
自動ネジ締め機を選ぶ際は、締結するボルト・ネジの本数や位置、必要なトルク、締結順序、品種数などを整理したうえで、自社の工程に適した設備を検討しましょう。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。