適したワークと
ねじサイズから探す
新製品の立ち上げや設計変更の際には、締付けトルクや回転数などのネジ締め条件を決める「条件出し」が必要です。条件出しが不十分なまま量産に移行すると、ネジ浮きや部品の破損などの不具合が発生し、立ち上げ後に条件の見直しが必要になる可能性があります。
本記事では、ネジ締めの条件出しで起こりやすい課題を整理し、試作から量産へスムーズに移行するための対策を解説します。
| 課題 | 起きている事象 | 主な影響 |
|---|---|---|
| 過去の設定値の流用 | 類似製品の締付け条件をそのまま使用している | ネジや相手材の違いによって、締め過ぎや締め不足が起こる |
| 締結状態が見えない | 設定トルクに達したかどうかしか確認できない | ネジ浮きやめネジの損傷などの原因を特定しにくい |
| 試作と量産の条件の違い | 試作時と量産時で、工具や回転数、部品の状態が異なる | 量産に移行してから不具合が発生する |
| 設定作業に時間がかかる | 設定項目が多く、条件の変更や比較に手間がかかる | 立ち上げ期間が長くなる |
| 条件の根拠が残らない | なぜその条件にしたのかが記録されていない | 設計変更や不具合発生時に見直しが難しい |
条件出しでは、最終的な締付けトルクだけでなく、締付け中のトルクや回転角の変化を確認することが重要です。これらの波形を分析することで、ネジの着座タイミングや締付け途中の負荷変化などを把握し、正常時と異なる挙動を見つける手掛かりになります。
波形を確認できる機能やソフトの有無、取得できるデータの種類は、メーカーや機種によって異なります。試作評価で活用したい場合は、導入前に対応機能を確認しておきましょう。
ただし、波形だけですべての締結不良を判定できるわけではありません。対象となるネジや相手材に応じて判定基準を設定し、実際の不具合を再現した評価を通じて、検出できる範囲を確認することが重要です。
目標となる締付けトルクを決める際は、実際の部品を使って締結状態や破壊限界を評価することが重要です。締付破壊試験などで得られた結果を、必要な締結強度や部品のばらつきと照らし合わせ、適切な締付け条件を検討しましょう。
破壊限界だけを基準に目標トルクを決めるのではなく、必要な締結品質と部品のばらつきを踏まえて条件を設定することが大切です。適切な条件を確定できない場合は、ネジや相手材の設計変更も含めて検討しましょう。
条件出しの作業を効率化するには、締付け条件の設定や変更、評価結果の記録を行いやすいネジ締め機を選ぶことも重要です。
機能が多いことだけでなく、担当者が条件を変更・比較しやすいことも重要です。導入前に実機で操作性を確認し、実際のワークを使った条件出しが行いやすいか評価しましょう。
試作と量産で条件の差が生じないように、試作段階の評価データを量産の設定に引き継ぐ仕組みを整えましょう。条件の設定値だけでなく、その根拠や評価結果も記録しておくと、量産開始後の不具合や設計変更にも対応しやすくなります。
試作時と量産時で部品や工具などの条件が変わる場合は、締結品質への影響を確認しましょう。必要に応じて再評価を行い、条件や判定基準を見直すことも重要です。
ネジ締めの条件出しでは、過去の設定値の流用や締結状態が見えないことなどが原因で、量産移行後に不具合が発生する可能性があります。
対策としては、締付け波形による締結の挙動の確認、締付破壊試験による破壊限界や締結状態の評価、設定しやすいネジ締め機の選定、試作の評価データの引き継ぎなどが挙げられます。
ネジ締め機は、メーカーや機種によって対応できるネジのサイズやトルク範囲、制御機能が異なります。ワークやネジの条件、求める締結品質に合わせて設備を選定し、実際の部品を使って締結品質と再現性を検証しましょう。
ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。
腕時計や
HDDなどに使われる
小ねじを締めたい

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。
ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。
家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。
最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。
建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。
高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。
※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。