ネジ締めと画像検査・センサ検査の連携における課題と対策

目次

自動ネジ締め機の締結結果はOKなのに、後工程の外観検査でネジ頭にキズがある、ネジが浮いている、部品がずれているといったNGが発生することがあります。自動ネジ締め機の締結データだけでは、外観や位置、高さなどに関する不良を検出できない場合があります。

本記事では、ネジ締め工程と画像検査・センサ検査を連携する際の課題や、I/O連携・産業ネットワークによるデータ連携・NGリカバリー設計などの対策を解説します。

ネジ締めと検査の連携で現場に起きている課題

課題 起きている事象 波及するリスク
締結OKでも外観NG ネジ頭の傷・ネジ浮き・部品の位置ズレ 出荷後のクレーム・返品
検査結果とネジ締め結果が別々に管理 データが紐付かず原因分析ができない 不良の再発防止が進まない
NG発生時のリカバリー導線がない NGワークが後工程に流出 市場クレーム・リコールリスク
検査工程が人手のまま 自動化された締結工程がボトルネックに 省人化の効果が限定的
検査ルールが属人化 作業者ごとに合否判定が異なる 検査品質そのものが安定しない

課題への対策① I/O連携で装置間の信号をやり取りする

基本的な対策のひとつが、自動ネジ締め機と検査装置をI/O(デジタル入出力)で連携させ、OK・NGやエラーなどの信号を装置間でやり取りする方式です。

典型的なI/O連携パターン

比較的シンプルな構成で装置間の信号をやり取りでき、既存ラインへの追加を検討しやすい方式です。

課題への対策② 産業ネットワークで詳細データを連携する

I/O連携に加えて、EtherNet/IP・PROFINET・OPC UAなどの産業ネットワークを利用すると、装置間でより詳細な情報を連携できる場合があります。

トレーサビリティ対応と組み合わせることで、市場クレーム発生時に対象ワークの締結・検査履歴を確認しやすくなり、原因究明や再発防止に活用できます。

課題への対策③ 画像検査・AI検査の選定ポイント

ネジ締め後の外観や位置などを確認する場合は、対象となる不良の種類や検査条件に応じて検査手段を選定します。

検査手段 得意な検査項目 一般的な導入難易度
ルールベース画像検査 ネジ頭の有無・位置ズレ・外観上の傷など 低〜中
AI画像検査 傷・汚れ・変色など、外観上の複雑な判定 中〜高(学習データ準備が必要)
3Dセンサ(レーザ変位計など) ネジ浮き・高さ・段差など
接触式センサ 対象物の高さ・位置など 低〜中

検査対象によって適した方式は異なります。必要に応じて複数の検査手段を組み合わせることで、単一の検査方法では確認しにくい不良を補完できます。

課題への対策④ NGリカバリー導線を設計する

検査でNGが発生した場合に「どのように処理するか」まで設計しておかないと、検査工程を自動化しても後工程での対応に人手が必要になる場合があります。

導入ステップ

  1. 現状の不良モードを洗い出し、締結データだけで検出できるものと、外観・位置・高さなどの検査が必要なものを切り分ける。
  2. 検査対象や要求精度に応じて、画像・AI・3D・接触式などの検査手段を選定する。
  3. I/O連携・産業ネットワークによるデータ連携のどこまでを一次導入とするか決める。
  4. NG発生時のリジェクト・リトライ・警告停止・データ蓄積など、工程ごとの対応方法を決める。
  5. トライアルで、検査精度・タクトタイム・データの紐付けなどを検証する。

編集チームまとめ

ネジ締め工程と検査工程の連携では、締結データだけでは確認できない外観・位置・高さなどの不良を検査工程で確認し、結果を締結データと紐付けることが重要です。I/O連携・産業ネットワークによるデータ連携・画像/AI/3D/接触式などの検査手段の選定・NGリカバリー設計を組み合わせることで、締結から検査まで一貫した品質管理を実現しやすくなります。

ワークとねじサイズから見つかる!
おすすめのネジ締め機3選

ネジ締め機を選ぶときには、“どのサイズのねじを締めるか”が重要な判断基準です。
そこで、当メディアではねじ締結を行いたい対象製品(※以下、「ワーク」と表記)とねじサイズの2軸から、ワークに応じて適切なねじ締めができる3機種を厳選しました。ネジ締め機の特徴を比較し、自社の製造現場に合った1台を見つけてください。

スマートフォンや
車載電装品などに使われる
小ねじを締めたい

想定ねじサイズ:M0.4~M3(※1)
ABLシリーズ
日本テクナート
ABLシリーズ
画像引用元:日本テクナート公式HP(https://www.technart.com/)
対応トルク参考値
0.002~13.2N・m
こんな製品におすすめ
スマートフォン/車載電装品/医療機器/半導体部品
ココがポイント!

精密機器や狭小部品のねじ締めを想定した軽量・小型の構造により、細かい部品の組み立てや狭小空間での作業にも対応。

ねじ1本ごとにスリーブやビット(※2)を設計し、トルク値を精密にコントロール。微細な部品でも不良や製品破損を低減。

家電製品や
PCパーツなどに使われる
定番サイズのねじを締めたい

想定ねじサイズ:M4~M5
HMシリーズ
デンソーウェーブ
HMシリーズ
画像引用元:デンソーウェーブ公式HP(https://www.denso-wave.com/ja/robot/product/screwtightening/STR.html)
対応トルク参考値
1.0~4.0N・m
こんな製品におすすめ
家電/PCパーツ/自動車組み立て部品/事務機器
ココがポイント!

定番サイズのねじ締めに最適化されたビットやトルク制御で、ノートPCや樹脂製筐体でも破損リスクを抑えられる。

最大6,000rpmの高速ビットと自動ねじ供給システムにより、家電・PCパーツの量産ラインでの作業スピードが向上。

建機や
車体などに使われる
大型・高トルクねじを締めたい

想定ねじサイズ:M6~M12
THL900-EN01
エスティック
THL900-EN01
画像引用元:エスティック公式HP(https://www.estic.co.jp/products/)
対応トルク参考値
1.0~100.0N・m
こんな製品におすすめ
工作機械/産業機械/自動車のエンジン部品/航空機の機体構造部材
ココがポイント!

最大100N・mの高トルクのため、自動車のサブフレームや建機の構造材など汎用モデルでは難しい大型ねじの締結が可能。

高負荷領域でもトルク制御・ねじ締めデータの記録精度を維持でき、構造部品に求められる品質基準もクリアできる。

※1 ねじサイズについて「M0.4」と表記していますが、正式なJIS規格(JIS B0201)では「S0.4×0.1」が正確な呼び方です。本メディアでは一般的な呼称に基づき説明しています。
※2 ビットとは、ねじを締めるための先端工具のこと。スリーブは、ねじをエア吸着でピックアップするときに必要な部品のこと。
※このメディアでは、公式HPに記載されている数値や製品特性をもとに「想定ねじサイズ」と「対応トルク参考値」を定義・整理しています。実際の対応範囲の詳細については、各社のスペック表をご確認ください。

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